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伊根の杜
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株式会社 キノアーキテクツ 木下 昌大
京都工芸繊維大学 木下昌大研究室
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京都北東部の伊根町で、町民が寄贈した重要伝統的建造物群保存地区内の民家を、図書館へ再生した。伊根の民家は、海に面する舟屋、山裾に並ぶ蔵、その中間にある主屋で構成される。改修対象は主屋だったため、本のための蔵を2棟増築し、町並に溶け込ませた。本の蔵はその奥にある既存の蔵と連なり、伊根固有の風景を敷地に引き込み、かつての生活道路を子どもが通り抜ける賑やかな里道へと甦らせた。建築の外観は、重要伝統的建造物で求められるファサードの復元と、現代のスペックを照らし合わせ最適化。建設当初と一致しないが、建造物「群」の保存とは風景の保存である。皆が思い描く心象風景を再現することが重要であり、建物の雰囲気を保ちながら時代ごとに更新していくことに意味がある。観光資源の舟屋のみならず、主屋と蔵がつくる集落構造、それらと共にある生活像を更新しながら持続させることこそ、伊根町の本質的な持続可能性につながるはずだ。
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