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秘伝のタレを継ぎ足すように
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上林 竜也(京都工芸繊維大学院)
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京都市内の街は景観規制により外側だけ町家の街並みを取り付けたようなビルが増えてしまっている。加えて京町家そのものは全体の3割ほどしか残されていない。京都市内の町家が取り壊されている現状だからこそ、残りの京町家の街並みを保存・復元するのではなく、どのように継承していくべきかを考えたい。そこで現在利用者がいない状況の京町家を対象に、周辺の町家の関係を構築しながら新たな街並みの継承方法を模索した。解体されていく他の京町家の中から、建築遺産として価値のあるものや再利用可能な建材を処分せずに寄せ集め、増築のためのピースとして再編する。まるで秘伝のタレを継ぎ足していくように建築に継ぎ接ぎを重ねていくことにより、従来のように建築が完全に解体されて終わりを迎えてしまうことなく、新たな組み合わせの一部として、長期的な京町家のタイポロジーの継承が可能になるのではないかと考えた。
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