素人の発想が、
プロの常識を
超える
こともある
茶谷友治
〒615-0935
京都市右京区梅津徳丸町7-1
TEL:075・861・3833
FAX:075・861・3833
茶谷友治は独歩の作家である。自ら「職人ではない、素人」と語るよう、職人として修行した経験はない。
若いころは薪、炭を扱っていた。その後ベニヤ板とユニット家具を扱う建材屋に職を得、定年まで勤め上げる。元来木が好きだった彼は出入りの工場で職人の作業を見るうちに、独学で木工の技術を習得。暇をみつけてはコツコツと作品を作った。こんなものがあればいい、そこから発想される作品は、効率よりも愛着がまさっている。中でも0・6mmの厚さの板を貼り合わせ、木の色の変化をつける合板技法、まるで紙のように自由な曲線が生まれる曲げものは、彼のオリジナル技法だ。プロの手による完全な工芸もよいが、木を愛するものの手になるものたちはどれもやさしい表情をしている。昭和 年京都クラフト展に初入選、以降常連となる。妻の靴を見て考案した「木のくつべら」は玄関に置いても似合うものをと考えた。この作品は京都デザイン優品商品に選定され、東急ハンズ大賞にも入選した彼の代表作だ。ものづくりに関わって 年、自ら素人であり続けたからこそ、既成の方法論や効率にしばられることのない、彼ならではの作品が生まれたのである。
写真 「木のくつべら」 幅3.5cm×奥行34cm×高さ5cm