京都に根ざした優れたデザインを発掘

デザインの
痕跡を目立たせない、
デザイン
—————阪本 弘

坂本建築事務所

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 <三浦照明株式会社>
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建築は住む人の暮らし方を生かし、周囲の風景や風や光を生かすためのものであらねばならない。これが阪本弘のものづくりの基本である。余分なものをそぎ落とし、デザインの痕跡を極力隠そうとする引き算のデザインをモットーとし、その建物がいかに環境と向き合えるかを追い続ける。デザイナーがあえて個性を消そうとすることは、ある意味で勇気がいる。しかし、使う人が主役である以上、デザインはおしつけでなく、使う人の色に染まっていける懐の広さが必要だということもまた事実だ。それを引き出すのが彼の仕事である。
同じ理由で、家具や照明器具も使う人自身が価値を見い出すことができる、そんなデザインをめざす。それは無駄がなく、必要なものだけで、美しい。見えないところにまで行き届いたものづくりへの思いが込められている。あるべきものを見ようとし、やるべきことをしようとする彼の仕事は職人にとってはやりがいのあるものとなる。彼の思いとその専門店である三浦照明の職人の技が、見た目は同じように見えても大量生産品では決してまねのできない違いを生む。当然コストがかかるから価格で大量生産品に勝つことはできない。それでも本物を求める人のために、これらをつくり続ける人たちの心意気に目を向けたい。

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写真1:瓢紋あんどん
写真2:掛行灯(内貼)