地場の特性を愛し、
知り尽くした老舗の味。
味噌業ひとすじの、
西の京の味噌
株式会社 本田味噌本店
本店 〒602-0904 京都市上京区室町通一条558
TEL:075・441・1121/FAX:075・431・4110
http://www.honda-miso.co.jp
店の成り立ちは、天保年間、丹波杜氏の流れを汲む初代・丹波屋茂助が、禁裏御所の御用達として、宮中のお料理用に味噌を献上したことに遡る。以来、京の風土に確り根ざした生業であったが、時に明治維新、東京遷都に際し、界隈の多くの店が、東へお供をするか、それともこの地に留まるか、の選択を迫られた。本田味噌本店がこの地に留まった理由、それは味噌が地場製、風土が“醸す”もの、すなわち醸造品であるから。味噌は一に原料、ニに“水・空気・気温”。その本質を守り、代々この地でしか生まれない味噌を造ってきたからである。これを機に店は、一般への販売に商いの形を変えた。家伝の白味噌は、東の京に対し西の京の意から「西京白味噌」と命名された。地場を代表する銘柄となって久しい。
現在、味噌業者は全国で約1600。仮に一軒に5種の商品があるとして、5×1600=8000種の味噌がある計算だ。味噌は本来、ワインやチーズ同様、一つ一つがそれぞれにオリジナルで、ユニークな個性をもつもの。各地に郷土料理と地酒があるように、土地に合う味噌、といったものが、ある。そこに割り込むつもりは、ない。ものにはそのもののもつ特性がある。それを大切にすることが、商品を守り、育むことになる。
ひと昔前なら当たり前だった、ごはんと味噌汁、そして家族揃っての食卓の光景 そういったものが大きく姿を変えた今、たとえば、即席の手軽さを本田流に解釈して生まれたのが「一わんみそ汁」。
一見、最中のような、愛らしいデザイン。まずもって生味噌の「重さ」を軽々とクリアしている。普段使いや贈答品に好まれる理由である。老舗の生味噌にこだわらない、柔軟さと現代性が生んだユニーク商品だ。
人の口に入るものは、もちろん、味が第一。だが、商品そのものは語らない。黙して語らず、の商品に代わって私たちに語りかけてくるもの、それが店の「暖簾」であり、商品の「デザイン」ではないだろうか。老舗の味噌屋は、鋭い近代経営感覚でもって、人々が本当に必要とするものを確りと見据えているのである。
写真
京味噌揃え
(蕎麦みそ・山椒みそ・
甘鯛[ぐじ]みそ・鳥みそ
一わんみそ汁[とうふ])