京都に根ざした優れたデザインを発掘

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高井一郎
京都市立芸術大学教授
'95 Made in KYOTO 京都デザイン優品審査委員会委員長

審査講評

「京都デザイン優品」も新制度に改められて2回目となり、参加企業も昨年以上に様々な分野からの申請となった。
 特に、伝統産業界で新分野に進出していこうとする積極的な企業が増えており、伝統的な技法を使いながら新しい素材を用い、現代の生活様式にマッチするような工夫をこらしたデザインの商品が目立った。
デザイン的には、まだ試作的な域にとどまるものもあるが、
中には十分市場に通用するものもあり、今後が非常に楽しみな分野であると感じる。
 ハイテク分野では、医療機器、分析機器など機械的な性能を重視する業界においても、最近はほとんどのものに利用者の立場を考えた人間工学に基づく設計がなされており、デザイン的にも洗練されたものが多い。
このため、今回の審査では他の分野に比べて若干辛めの採点となってしまったかもしれない。
shot03.jpg さて、京都デザイン優品に選ばれた商品を見ると、
これまで商品を市場に一般化することを得意としなかった(と言われていた)京都の優れたモノの作り手の中にも、既成の枠に捉われることなく、「伝統」に「創造」を加味した新しいモノづくりに取り組む姿勢をもつ人々が増えてきたように感じる。
「生産性」、「市場性」、「美しさ」などデザインを構成する様々な要素を感覚的に身につけた人たちが、自分の置かれている「時代」や「市場」の要請に適ったモノづくりをするようになったからであろう。
 一方で、昔から作られ続け、今も変わらず使われているものの中にもよいものがある。今、新しく何かを創りだすことはもちろん大切であるが、過去から現在、そして未来へと不変的な良さをもつものが京都にはたくさんあるからである。
 このような優れた商品を市場から「発見」し、「選ぶ」こと、すなわち、「発見と選択」が「創造」となる。
 今後も、この事業がいっそう定着し、京都の優れた商品の発掘に寄与することを期待する。

審査委員

池田  毅 (社)日本パッケージデザイン協会副理事長
河北 秀也 (株)日本ベリエールアートセンター代表
坂下  清 シャープ(株)常務取締役
曽呂利忠男 阪急百貨店販売促進部長
高井 一郎 京都市立芸術大学教授
高橋 公子 日本女子大学教授
本郷大田子 (社)京都デザイン協会理事長
宮島 典男 松屋銀座本店デザインコレクション
森岡 茂勝 兵庫教育大学教授
森山 明子 日経BP社にっけいでざいん編集長

ご協力いただいた推薦委員

荒川 祥子 スペースki主宰
小川 長楽 陶芸家
恩地  惇 (株)GK京都取締役副社長、京都工芸繊維大学講師
門脇 英純 マーケッター、成安造形短期大学造形学講師
川人 一郎 (社)京都府物産協会会長、(株)川人象嵌代表取締役
高島 一子 スーパーコーディネーター、エディター
谷川  隆 (株)日商社取締役営業本部長
津田佐兵衛 京都物産出品協会会長、(株)井筒八ツ橋本舗代表取締役
中西まゆみ (協)京都クラフトセンター理事
中村 隆一 京都市立芸術大学教授
野田 伸三 京都伝統産業青年会相談役
原  里江 成安造形短期大学アートプログラミング専攻科
久谷 政樹 京都芸術短期大学教授
増山 和夫 京都工芸繊維大学工芸学部助教授
松川 恵一 プランナー、(株)エニアックインターナショナル代表取締役
元橋 一裕 (株)フェイム編集長
大和 文昭 京朋(株)企画室「和座」室長
若林 広幸 建築家
(順不同・敬称略)