高井一郎
京都市立芸術大学名誉教授
京都デザイン優品審査委員会 委員長
審査講評
私は、過去4年間海外に赴任していていろいろな経験をしましたが、なかでも強く印象に残っているのは、京都が海外でも特別な意味をもって見られており、日本を知らなくても京都の名が知られていることです。
日本のデザインは高く評価されており、世界は日本的なものを求めていることを感じてきました。特にパッケージについては欧米で有名です。日本人の贈る気持ちを大切にすることが、理解されだしたのかも知れません。
今回選定したものは「京都らしさの中に新しさを感じさせるものです」チョコレート八ツ橋を例にとりますと、八ツ橋に無関係なチョコを八ツ橋のイメージを壊さずに、ユーザーとコミュニケーションできるようにデザインされています。
産業部門のハンディ分析計シリーズでは、取り違えの予防を考えたカラーの区別で示すデザイン、衰え始めた筋肉や骨格を補うユニバーサルデザインの下着、エコロジーデザインを取り入れた有機性廃棄物バイオ分解再資源化システムの廃棄物無臭処理段ボール等デザインで社会的な解答を出そうとする努力が見られて評価できました。
また、今の日本で忘れ去られているものが京都では生きているように思います。
しかし、もっといろいろな試みが出てきてもいいのではないかとも思います。
京都の今の空間、暮らしに現代的デザイン要素を盛り込んだものが今後出てくることをさらに期待致します。