ごあいさつ
京都では、千年の都の歴史と文化を背景に、伝統工芸品をはじめさまざまな生活用品が創作されています。
それらは、「京もの」として各分野で高い評価を受け、多くの愛好家や専門家に愛用されております。
そしてまた、こうした「京もの」の磨ぎすまされた感性を活用して、新たな生活文化の提案が試みられております。
折りしも平成元年度は、通商産業省によって「デザインイヤー」と位置づけられ、デザインを通じて新たな時代における生活と産業と文化のあり方を、国民各分野で問い直そうという運動が展開されております。
京都府では、これを機に京都産業のデザイン開発力の向上と、京都ブランド商品の普及啓蒙をめざして、平成元年度新規施策として「Made in KYOTO ベストデザイン商品選定事業」を実施いたしました。
この事業は、実際に市場に流通している京都商品を対象に優れたデザインの商品を選定するもので、ここに本年度の選定商品を掲載いたします。
本事業を通じて、京都企業のデザイン開発力の向上と京都商品のより一層の普及を期待いたします。
本郷 大田子
(社)京都デザイン協会 理事長
京都デザイン優品の第一歩―――。
京都の歴史性や文化性は、常に高い評価を得てきた。しかし、近代の名のもとに一変した生活様式や、それに伴う産業製品は、京都のもつシステムや人の心意気が壁となり、工業的社会への導入を著しく鈍くしたとも云える。これが京都にとってマイナスだったかどうかは、歴史家の判断を待たなければならないが、ただ近代社会が成熟する過程でモノの価値観が大きく移行しつつあるのは確かで、しかもデザインがそのキーワードとなっていることも事実である。このことをいち早く見越した京都府は、独自の価値評価によって産品の優位性を示すべく「Made in KYOTOベストデザイン賞」を制定した。これが今、次のステップに入ったのである。私達はまず褒賞より認証の重要性を意識し、京都産品が市場で価値の高揚と拡大を確かなものにすべく改革を試みた。名称を「京都デザイン優品」と改め多岐で厳正な選定によってその優位性を厳然たるものにしようとしたのである。ハイテクから工芸的産品まで幅広いモノが世界に誇れる京都デザイン優品として大きな信頼を得てほしいと願うばかりである。